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三十路女のくだらない日々。


by kutuganaru
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浮遊

浮いている。
どこに、とか、どのくらい、とか、そういうことはわからない。
ただ、浮いているのである。

遠くに、光が見える気がする。閉じたまぶたの裏側が、ほの明るくなっているからだ。
しかし、どうしても億劫で、目があけられない。
だから、どの方向から射してくるのか、どんな色をしているのか、よくわからない。

私の体は、どこに浮いているのだろう。
プールなど、水に浮かぶ場合、頭や腹筋に、少しだけ力を加えないと、バランスを崩したり、鼻に水が入りそうになったりするが、今私は、どこにも力を入れていないように思われる。もちろん、長い間同じ場所に力を入れていたので、感覚が麻痺しているということも、ありえるのだけど。
だって、水以外の場所に浮かぶなんてことがあり得るだろうか。
しかしやっぱり、全身のどこにも何かが触れる感じが全くない事が、私が浮いていることを、ひしひしと思わせる。

こんな途方もないことになって、どれだけ悲しいだろうかと思ったが、よくよく自分の気持ちを問いただしてみれば、ちっとも悲しくない。
寂しくもない。もちろん、虚しくも。

ではどんな気持ちなのかと問われれば、それは、無、なのであった。
どんな気持ちもない。
あぁ、浮いているんだなぁ、と思うばかりである。

あぁ、浮いているんだなぁ、と思いながらしばらくはプカプカとやっていたら、何やら時間が気になってしょうがなくなって来た。
私は学生であることを、思い出した。
学生である私は、学校に行かなくてはならないし、生活のために、働かなくてもならない。本も読まねばならないし、友人にメールを送らなくてはならないのだ。

今は何時なのだろうか。
学校に、遅刻していないだろうか。
アルバイトが、無断欠勤でクビになってはいないだろうか。
話題に取り残されていないだろうか。
メールの返事がないからと、友人から仲間はずれにはされないだろうか。
一体、いつまで浮いているんだろうか。

それらがいっぺんに頭の中に浮かんだ瞬間に、私はどうしようもない不安にかられて取り乱し、左右をきょろきょろと見回したものだから、あっという間にバランスを崩し、そのあとはもう、落下するだけで、考えたり、感じたり、ということとは、全く無縁となってしまった。



  映画「シムソンズ」(カーリングわくわく青春スポコンもの(笑いあり))
by kutuganaru | 2007-12-15 12:39