三十路女のくだらない日々。


by kutuganaru
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世界で一番愛してる

川上弘美さん「古道具 中野商店」の中で、店主の姉マサヨさんが、死んでしまった恋人丸山氏に、言いそびれたと、お通夜の帰りに主人公にもらす台詞。
丸山氏は、大家さんに恵まれないし、なんかあか抜けないし、そのくせ外に女を作って(マサヨさんの予想であって、ホントのところはわからない)マサヨさんから逃げたり、と、大した男ではない。
かたやマサヨさんは、小さいながらも個展をひらいたり、これまた小さいながらも賞を貰ったりするような、ゲイジュツカである。
そんなマサヨさんが、丸山氏を、「世界で一番愛してる」のである。
素敵だ。
マサヨさんは、その後「その事だけ、丸山に言いそびれたわ」と続けるが、マサヨさんはきっと、丸山が生きていれば、そんなこと、言わなかったのではないか、と、私は踏んでいる。

川上さんの、比較的新しいこの長編小説は、1年ほど前に、一度読んだ。
新作を、楽しみに、楽しみに、ようやく見つけて、購入したのである。
いつもの川上さんの作品に比べ、かなりのんびりしているような、印象を受けた(川上さんの作品は、だいたいいつものんびりしているのだが)。
しかし、最近読み返してみて、全然違う事が、わかった。
読むときの心境によるのか。

好きをつきつめると、からっぽの世界にいってしまうんだな。

わたしは、まだ、からっぽの世界には行った事がない。
しかし、この物語の主人公ヒトミちゃんは、先の事を思った2年後、タケオを本気で好きになった、と思っている。
つまり、2年前、その時はつきつめていなかったという事か。
つきつめすぎて、本気の好きじゃなかったのか。
好きをつきつめたら、わたしはどうなってしまうのだろう。

きっと、自分が自分であるのか、自分だと思っているだけの物体であるだけなのか、わからなくなってしまうに違いない。
きっと、途方もなくなってしまうに違いない。
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by kutuganaru | 2006-04-19 09:02