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三十路女のくだらない日々。


by kutuganaru
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パレード

【小説】 吉田修一著
5人の主人公が、それぞれ何かを抱えながら、生きている。
それは、私たちすべての人も同じ。
腹に何抱えてるかなんて、他人には一生わからない。
わからないからもどかしいけど、楽。笑っていられる。

この小説は、割と怖いと思います。
5人それぞれの主観で描かれているはずなのに、恐ろしく客観的で、冷たくて、
それなのに、人間の体温がしっかり伝わってくるのです。

そこにいるみんなが知っている個人なんて存在しない。


【映画】 監督:行定勳 出演:藤原竜也、貫地谷しほり、小出恵介、香里奈、林遣都
小説を、とってもうまい具合にまとめています。
特に小出恵介と貫地谷しほりのやりとりとかいい感じで、
ちょっと笑えるところとかもあるけど、
最後のシーンとかの演出とか、ほんとよかった。
終わり方とか、いい感じにゾッとします。

行定勳監督は、ちょっとなめているふしがありますが、
「遠くの空に消えた」とかも好きだったので、実は意外と好きなのかもしれません。

ただ、香里奈。彼女が誰か別の、もうちょっと演技のできる人だったら、もっとよくなったのではないかなーと思ったり…。
合ってるんだけど、キャラには。台詞がどうも浮いちゃうだよなー。


パレードっていう言葉の意味を、
DVD特典の予告編にて、出演者が話しているのを見て、初めて考えた。

みんなで行進している。
一見しっかり、パレードは進んでる。
でもよくよく見ると、

衣装がほつれてる。
音の出ていない楽器がある。
前後左右がたまに入れ替わってる。 
誰かが紛れ込んでいる。

それなのに、外側から見ると、何の問題もなく、進んでいるように見える。
だから、列をなしている者たちも、あえて止まったりしない。
なんとなく、それなりに、進み続ける。
それはだってなんとなく、楽しいし。
気づいたからって、指摘したりするのめんどくさいし。
指摘したことで、場の雰囲気が壊れちゃったりすんのもなんか嫌だし。

そうして、見えるものを見えないふりして、
なんとなく楽しげに進んで行く、パレード。
このぬるい幸福から、なかなか抜けられない。
沼のようにずぶずぶと、深みにはまっていく…かも?
by kutuganaru | 2010-11-27 00:34