三十路女のくだらない日々。


by kutuganaru
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流星の絆

映像化された作品と、その原作、もしくはノベライズっていうのは、
そりゃあ違っていて当然で、そのどちらも面白い場合と、どちらも面白くない場合、
またやっぱり先に考えられた原作なりドラマなりが面白いこともあれば、
例外的には、原作よりも映像化の方が面白かったり、
とっちらかったドラマを小説がうまくまとめて説明してくれてわかりやすい!っていう場合もある。

色々なケースがあるので、私は割と比べたりするのが好きです。

この個人的勝手な比較は、『スリーパーズ』に始まりますが、映画を先に見てから小説を読みました。
もちろん小説の方が事細かに説明されていて、細部までわかるため理解はしやすい。
しかしながらラストシーンのすがすがしさは、まさに映像だからこそ表せた感動であり、
いくら詳細に説明したところで、目の前に広がる光景のインパクトには到底勝てないものだった。

最近では、『悪人』なんかはどちらも良かったですね。
どこかの誰かが言っていたが、小説では説明しきれない女子大生が殺されてしまう背景を、
満島ひかりがうまく表現していたりと、映像化ならではの良さも目立った。

逆に超個人的な意見としては、先日放送された「新参者シリーズ」の「赤い指」。
これ、原作良かったって言う人すごく多いけど、私的にはいまいちだったんですが、
ドラマはとてもよかったです。
「容疑者Xの献身」くらい原作に忠実にやられちゃうと、新鮮味がなくて、いまいち楽しめないですが。


そんな「加賀恭一郎シリーズ」でもおなじみの東野圭吾著
『流星の絆』

2年くらい前に、クドカン脚本でドラマ化されていた本作。
ずっと原作を読みたいと思っていたので、ブックオフで300円で売っていたのを発見した時の喜びといったら!!

ドラマでは、長男功一を嵐の二宮和也、二男泰輔をNEWS?の錦戸亮、妹の静奈を戸田えりかが演じ、
またキーパーソンとなってくる柏原刑事役には三浦友和、戸神行成を要純、萩村刑事をバナナマン設楽、
戸神行成の父政行は柄本明と、そりゃあまあそうそうたるメンツを揃え、
シリアスな原作を大胆にアレンジし、コメディタッチにした挙句、
主題歌を歌う中島美嘉を劇中に登場させたり、てんやわんやの中で、
大筋は見事原作通りに仕上げるという、
かなりな神業的脚本と、役者の演技で相当面白いドラマになっていました。

そんなドラマからは想像できないほどシリアスなものだといううわさの原作…。

幼いころ両親を殺された兄弟3人が、詐欺を働いていくうちに、両親殺しの犯人を偶然見つけ、
復讐の計画を立てるうちに、妹はその息子に恋をして...

という話に、はたしてドラマを見ていない人は付いていけるのだろうか。
私は話の大筋を見た上で読んだので、細部は気にせずに楽しんで読めたが、
そうじゃない人からしたら、「え、ちょっとまってまって、ついていけない」てなことにはならないだろうか。

ということはさておき、では小説ならではの面白さって一体なんだったんだろう、
と考えるが、上手く言葉にできない。

続きを早く読みたくて、寝る間も惜しんで読んだのは事実だが、
じゃあ何が面白かったかと問われると難しい。
読んでいる間中、ずっとドラマのシーンを頭の中で反復しながら、
当時の感動を繰り返し思い描いていたように思う。

しかし、この小説なくしてあの素敵なドラマはできなかったことは紛れもない事実だし、
やはり破たんのない文章能力はさすがとしか言いようがない。


ちなみにこの作品、ドラマと小説で、結末の一部が違うんですが、
私はドラマの方が断然好き。

そして作品通して一番素敵なのは、要クン演じる戸神行成であったことは言うまでもない。


★★★☆☆
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by kutuganaru | 2011-01-18 14:54 |

ノルウェイの森

よい「映画」には、何種類かあると思っている。

鑑賞後、なんらかの思いをめぐらせてくれるものもそのひとつであろう。
登場人物に共感できるかどうかも、重要なポイントである。
また、役者がよい演技をしているかどうかが作品の良し悪しを左右する場合もある。
ド派手なアクションなんていうのも、映画ならではのよいところではないだろうか。
監督の強い思いが、きっちりと、ぶれることなくダイレクトに伝わってくると、なおいい。

そして、映画でしか堪能できない重要なもうひとつの要素、それが映像の美しさである。

「ノルウェイの森」
監督:トラン・アン・ユン
原作:村上春樹
出演:松山ケンイチ、菊池凛子、水原希子

言わずと知れた奇才村上春樹の同名小説初の映画化となる本作。
ちなみに小説版は、私が村上春樹小説の中で、唯一まともに読んだ長編と言える。
それ以来、めっきり春樹から遠ざかってしまった。
理由は単純に、訳がわからず楽しめなかったことにある。
中学生だったわたしは、もはや読書などではなく、ただ目の前に連なる文字を追っていただけと言えるほどに、
物語に入り込めなかった。
だから内容などろくに覚えているわけもなく、
私の中の「ノルウェイの森」は、なんか暗い人がぼやき続ける、とてつもなく暗い小説、だったのである。

本作は、私の中の灰色の小説「ノルウェイの森」に、たくさんの色をつけてくれる、そんな映画であった。

ただし暗いところはあくまで黒く、むしろどす黒く、しかし明るいところは太陽の光ほどに明るく、
その濃淡をしっかりと、そしてとても美しく、描ききっている。

黒く描かれる直子とカラフルに描かれるミドリの対比。
そして直子、ミドリそれぞれの中の黒い部分と明るい部分の対比。
女性対男性としての対比。
愛というものに実直であろうとすることと、性への欲望との対比。
夏と冬の対比。

そのどれもが矛盾することなく、私の中に入ってくるほど説得力のある映像美。

トラン・アン・ユン監督の、底知れぬこだわりに、圧倒されるばかりである。

いろいろなものにがんじがらめになって、身動きの取れないワタナベを哀れに思い、
奔放で、性に対しても積極的なミドリを羨望し、
過去から解放されずに苦しみ続ける直子に、私の中の何かが共感した。

そして1970年代(?)のレトロポップなインテリアやファッションはとてもかわいく
それだけ見ていても決して飽きない。

期待しないで見に行ったというのもあるかもしれないが、
予想外にとてもいい映画を観た気分だ。
今の私の気分に、なんとなくフィットしたのかもしれない。

★★★★☆
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by kutuganaru | 2011-01-03 22:02 | 映画