三十路女のくだらない日々。


by kutuganaru
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カテゴリ:映画( 37 )

『海街ダイアリー』@ユナイテッドシネマ浦和 2015/6/16

<ストーリー>
鎌倉に暮らす長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳の香田家3姉妹のもとに、15年前に家を出ていった父の訃報が届く。葬儀に出席するため山形へ赴いた3人は、そこで異母妹となる14歳の少女すずと対面。父が亡くなり身寄りのいなくなってしまったすずだが、葬儀の場でも毅然と立ち振る舞い、そんな彼女の姿を見た幸は、すずに鎌倉で一緒に暮らそうと提案する。その申し出を受けたすずは、香田家の四女として、鎌倉で新たな生活を始める。

監督 是枝裕和
原作 吉田秋生
脚本 是枝裕和
製作 石原隆 都築伸一郎
出演 綾瀬はるか・長澤まさみ・夏帆・広瀬すず

とても心地いい何かに包まれているような感覚。

まず、色がいい。
淡く、空と海の境目が分からない色合いが、
鎌倉の灰色の空と全体的に靄がかかったような空気感によく合う。
(撮影は瀧本幹也氏)

音がいい。
どこにいても、波の音が絶え間なく聞こえてくる気がする。

4姉妹がいい。
ほんとは、これに尽きる。

綾瀬はるかは、役に合わないのではないかと思っていたけれど、
厳しさの中にある強さ、弱さ、そしてなにより優しさがにじみ出ていて、
きちんとお姉さん、という感じがした。
綾瀬はるかが笑うと、お姉ちゃんに許してもらえた、認めてもらえた、と
なんだかうれしくなった。

長澤まさみは、シワがよかった。
語弊がありそうだけど、いい意味でツルンとしていなくて、
きちんと生きてきた人、という実在感があった。

夏帆は、3女の飄々とした感じがうまいこと出ていて、
何にもとらわれない軽やかさと、
自分の道をマイペースに進んでいく芯の強さで、
姉妹の間をクルクルと動き回る様は、とても小気味いい。
なのに、ほんのわずか、孤独を感じているんだろうな、
という感じがうすーく見えるところが、すごい。

広瀬すずは、何者でもない感じがいい。
衝撃的にかわいいし、多分ほかの同級生キャストより年上だと思うのだけど、
その違和感を不思議と感じることなく、空気にスルっとなじんでる。
ちょうどいい存在感って実は貴重。

この4人それぞれと、関わる人。
いい人、悪い人、悪気はないけど自分のことしか考えてない人、
ただ現実を静かに受け入れる人、抗う人・・。
みんなが生きて、そして死ぬ。

そうそう、この映画、2時間の間に葬式が2回、法事が一回。
喪服のシーンがやけに多い。
多いのだけれど、それも仕方のない自然の摂理だと、受け入れられる。

そしてそれは、人生の一大イベントでもある結婚が、
いずれこの4人に訪れるであろうことも示唆する。
つまり、この時、4人が仲睦まじく生活するこの時間には、
限りがあるのだということ。

限りがあるからこそ、美しいのだということ。

窓枠に集まり、梅の木を眺めながら、寄り添う4人が、
笑い合うシーンに、涙してしまったのはなぜだろう。

もしかして、その美しさに、涙が出たのだとしたら、
私的には大進歩。
(ポジティブな理由で涙を流した経験がないので)

いいとか悪いとか、関係なく、わたしはただ、この映画が大好きだ。
今後、どれだけ素晴らしい映画が登場したとしても、
私の中のこの映画の立ち位置は、きっと変わらない。
心のどこかに必ずこの映画はあるし、
折につけて見返すことになると思う。
きっと見るたびに、感じ方は全然違って、
だけどいつ見ても、私の心に温かいものを宿してくれる。

そんな映画になるだろうなあ、と感じたのです。

なんだか最近、感傷的になってしまって、いやあね。
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by kutuganaru | 2015-06-23 15:14 | 映画
『新宿スワン』@TOHOシネマズ新宿(初体験)2015/6/9
 
<ストーリー>
一文無しであてもなく歌舞伎町を彷徨っていた白鳥龍彦は、スカウト会社「バースト」幹部で謎に満ちた一流スカウトマンの真虎に助けられ、スカウトマンとしての道を歩み始める。裏社会に足を踏み入れた龍彦は、危険な思惑が交錯する世界を縦横無尽に駆け抜けていく。

監督/園子温
原作/和久井健
脚本/水島力也・鈴木おさむ
プロデューサー/山本又一朗
出演/綾野剛・山田孝之・沢尻エリカ・伊勢谷友介・金子ノブアキ など

まず、見た劇場がよかったです。

TOHOシネマズ新宿。

歌舞伎町のど真ん中にあるこの劇場で、
歌舞伎町が舞台の映画を見る。
映画館からほんの数メートルのところで、ドラマが繰り広げられている感じ。
見ている間も見終わって駅まで帰る道も、
なんかソワソワしてたのしい。

逆に、ここで見ていなかったら、何の意味もなかったと思う。
と、いうのも。。

この作品を見て、私が園子温に求めているものが、はっきりとわかりました。

それは、園子温自身、です。

園子温の映画を見るとき、ストーリーや演出、エロ・グロとか、
そんなのはどうでもいいのです。

「俺は園子温だ!!!!」

という主張そのものがどうしようもなく魅力的で、
それを楽しむために、映画館に毎回足を運ぶのです。

「俺は園子温だ」と言えば、初監督作のタイトルのようですが、
いったいこれはどういうことでしょうか?
未見なのでわかりませんが、きっと、なんとなく、そういうことなのだろうと。

映画がどんなに荒唐無稽でもめちゃくちゃでも、
ストーリーに齟齬がありまくりでも、それもひっくるめて、
一人の人間を見ているという感覚が、
とてもスリリングで、生々しくて、
こういう体験をさせてくれる映画は、そんなに多くないと思います。

ところで、『新宿スワン』は、わりとよくできた映画です。

ストーリーも分かりやすいし、
登場人物1人1人がとてもよく描けていて、みんな魅力的。
(これで綾野剛が少しだけ好きになった)
アクションシーンには迫力があるし、
安田顕の出てくるシーンとか、声出して笑った。
あれだけたくさんの人間を使って撮影するとか、ほんっと大変だろうし、
宣伝も大量で、現に集客もよさそう。

こう書くと良い事だらけ。

あれ、なのに何この、物足りない感は。

私はこの手の映画(不良漫画系?)を好んで見る方ではないので、
なぜ映画館まで見に行ったかって、それは園子温監督作だったから。

なのに、この映画には圧倒的に、園子温が足りない。
感じるのは、「へえ、園子温て、普通にちゃんとした映画撮れるんだ・・」
ってことくらい(←あたりまえ)

今HULUでまとめ見してる「時効警察」の園子温回の方がよっぽど園子温臭がして、
楽しめます。

もっと園子温もってこーーい!!!!

ってことで、園子温臭プンプンの「ラブ&ピース」と「みんな!エスパーだよ」が、
今から楽しみなのであります。

※さて、「園子温」って何回言ったでしょうか?
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by kutuganaru | 2015-06-15 00:42 | 映画
『百日紅 Miss HOKUSAI』@シネ・リーブル池袋 2015/6/13 

<ストーリー>
江戸風俗研究家で文筆家や漫画家としても活躍した杉浦日向子の漫画代表作「百日紅」を、「カラフル」「河童のクゥと夏休み」の原恵一監督がアニメーション映画化。浮世絵師・葛飾北斎の娘で、同じく浮世絵師として活躍した女性・お栄が、父・北斎や妹、仲間たちとともに生きた姿を、江戸の町の四季を通して描く。

監督/原恵一
原作/杉浦日向子
脚本/丸尾みほ
キャラクターデザイン/板津匡覧
美術監督/大野広司
出演/杏・松重豊・濱田岳・高良健吾・美保純 など

原恵一作品初体験。
話題になっている事は耳に入っていたのですが、
クレヨンしんちゃんとかは、あまり見ない方なので、
これまで見る機会がなかったのです。

これまで見てこなかった事を後悔するほどではないけれど、
この作品は、とってもよかった。とっても、じんわり、よかった。

まず冒頭、
百日紅の花が落ちて、
主人公のお栄さんが「長い夏が始まるねえ」という、
そこに音楽が乗ってきて、タイトル(だったはず・・!)

それだけで、なんだか涙腺が弛んでしまった。
その時点で既に、私の感情をどうにかする作品である事が、
わかってしまった。

あとはもう、引きずられるだけ。
物語に、お栄さんに、北斎の書く龍に、もののけに、スクリーンに。
現実も物語も入り交じった、私を取り巻く全てに。

ところで私は絵が苦手である。
絵?じゃないな。。美術?芸術?
よくわからないけれど、
美術館などに行くと、たまにモーレツに退屈してしまうのだ。

美術を鑑賞する、楽しむためには知識が必要で、
その知識をわきまえていないと楽しめないような気がしてしまう事があって、
要は、絵を見ているだけでバカにされているような、
疎外感のような、そんなものを感じてしまうのだ(←被害妄想)

北斎の絵は違う。
歴史とか、文化とか、当時の時代背景とか、
そういったことが何もわからない私でも、
楽しんで良いんだよ、と言ってくれているような、
度量の深さ、というよりはもっと軽やかな、単純なユーモアを感じる。

そこが好きだ。
軽やかなものは、いい。

映画を見ていると、
北斎とその娘、お栄には、小難しいところやこだわりがほとんどない事がわかる。

自炊はしない、掃除もしない、
家が汚れたら全部置いて引っ越せば良い。
親父と娘、筆2本と箸4本あれば、どこでも食っていけるさ。

なんと粋なこと・・!

逆に、駆け出しの絵師、善次郎が家に勝手に住み着いてもおかまいなし。
野良犬がいつの間にか家に入ってきても、しかり。
書き上がった絵がダメになった時だって、
怒ることもなく、だた、なくなってしまった、
という事実だけがそこに残る。

絵は、その目で見たものしか、描く事ができない。
だから、色いろなものを見る。
なんてシンプルなのだろうか。

そういった生き様が、そのまま作品になっているのだと、
なんだか妙に納得してしまった。
(真実は知りませんがね。)

主人公である北斎の娘、お栄さんは、
粋で、とても男らしい女性です。
絵を描き収入を得て、母親孝行に妹孝行。無口で人の世話ばかり。

そういう「強い」女性は、得てして一人です。

彼女の「強い」仮面の下に隠れた、弱さをわかってあげられる男性が、
一人でもいなかったのか。
例えば、歌川国直くらいは、本当は気づいてあげるべきだったのではないのか?
(北斎はわかっていたんだろうが、父だし、照れくさかったんだろうな)

でも、もしそうだとしたら彼女は生涯独身じゃなかっただろうし、
(一度は嫁いで、だめになったとのこと)
生まれずに終わったかもしれないすばらしい作品もたくさんあるのだろうから、
まあ、これでよかったということなのか。

そもそも、よいも悪いも、その人の人生なのだから、
私ごときが口出しするのは無粋ですね。

少しは、お栄さんの粋を見習いたいものです。
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by kutuganaru | 2015-06-15 00:07 | 映画
だいぶ前の事ですが、会社の先輩に「冷たい熱帯魚」を軽い気持ちでオススメしたら、
それからすっかり猟奇キャラになってしまいました。
おかげで血みどろ、スプラッター、暴力、セックス、サイコスリラーの情報には困りません。

そんな中話題になったこの原作小説を、映画公開1週間前に借りて読みました。


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そもそも、このカラスの表紙で全然読む気になれない(怖そうだから)


借りても最初は全然読む気になれなかったんですが(なにせ怖そうだから)、
映画は気になっていたので、タイミングも良いし、と思って読み始めたら、
ナニコレ、すごく読みやすい。

(思ったほど怖くないじゃん)

と上巻はスラスラ読み、すぐに下巻に着手すると、中盤くらいから様子がおかしい。

(え。怖いんだけど。めちゃくちゃ怖いんだけど~~~!!!)

恐怖におしっこチビりそうになりながらなんとか読み終えました、公開前日。

そして、公開日に行ってきました。

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@ユナイテッドシネマ浦和。
20時45分開始の回にも関わらず8割方埋まってました。主に若者。
男女比はそんなに偏りなく、カップルがやや多いように感じました。(ちなみに私は1人)
さすが海猿です。

原作:貴志祐介
監督;三池崇
出演:伊藤英明、二階堂ふみ、染谷将太、浅香航大、林遣都 ほか
ストーリー:生徒からも教師からも人望の厚い、「よくできた」教師、蓮実聖司。
       しかし彼は、他人との共感能力を持ち合わせていない、サイコパスであった。
       自分に都合の悪い人間は排除しながら、自分の居心地のいい場所を確保しながら
       生きてきた彼は、ある些細なミスから、クラス全員皆殺しをする計画を実行する・・。


映画を見ていてまず思ったのは(小説読んでない人にわかるのかな?)ということでした。
小説を前日に読み終えた私にとっては、小さなヒントから、小説の一部分を想像することが可能でしたが、
読んでいない人からしたら、謎のカットが入ったなと感じるであろう部分がしばしば。

私はこの間のタマフル秋の推薦図書特集でおそらく伊藤聡さんがおっしゃっていた事を思い出しました。

「映画化するのに適しているのは短編小説である」

それに対してこの作品は、すらすら読めてしまうとはいえ、文庫でも上下巻。
映画で表現するにはちょっと長過ぎたのでしょう。

以下ネタばれ入ってくるので、隠しますが観た人(もしくは小説読んだ人)は読んでください!!

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by kutuganaru | 2012-11-16 18:11 | 映画

夢売るふたり

誰かが言っていたらしいけれど、
映画は、観客の後ろから光がさして、その頭上を通るときに、
見る人々のオーラみたいなものがその光に融合することで、
作品として完成するのだそうだ。
ということは、観客が全員おんなじ位置に座って鑑賞するという事がない限り、
上映一回ずつ、違う作品となるんだなあ、って思った。

その話とはだいぶ違うのかもしれないが、
一緒に見る人と感じ方が違ったりすると、一気に興ざめしてしまうケースもある。
もっと単純に言えば、自分が感動したり、固唾を飲んで画面に見入っているときに、
笑い声とかが聞こえてくると、なんだか気持ちがそがれてしまうのだ。
だからといって、笑いたいところで笑ったり、泣きたいところで泣くのが映画を見る醍醐味だし、
見る人みんなが同じとこで同じ考えをするっていうのも逆に気持ち悪かったりもするので、
非常に難しい話ではあるんだけどね。

ってわけで見てきました。
「夢売るふたり」
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監督:西川美和
出演:松たか子、阿部サダヲ、田中麗奈、鈴木砂羽、安藤玉恵 ほか

予告編こちらからどーぞ
http://www.youtube.com/watch?v=ogDxVs2xTUc

夫婦で小料理屋を営んでいた貫也と里子。店が火事で燃えてしまうところから、
二人の人生が変わっていく。
また最初からやり直せば良いと里子はバイトを始めるが貫也は自暴自棄になり、
かつての常連さんと一夜を共にしてしまう。
腹を立てる里子であったが、そこで妙案を思いつく。結婚詐欺で資金を稼ぐのだ。
里子が見繕った、心に穴のある女性の懐に、貫也が入り込み、金は順調に貯まっていくが、
里子の心の穴はどんどん広がっていき・・・。

とまあ、こんな話である。

私は「ゆれる」で西川監督をスゲーーーと思い、「蛇いちご」をVHSで見直し、
「ディアドクター」はもちろん劇場で、原作本が出ているものに関しては読んでいて、
というくらいで、でも正直「蛇いちご」「ディアドクター」は、そこまで肌に合わなかったなあ、
と思っているようなテンションですが、今回はとても期待していました。

胸を「撃たれ」ました。(「打たれる」だと全然弱い。)
特に、「桐島、」以降自分の空っぽさを再認識せざるを得なかった私にとって、
それはそれは痛い、痛すぎるものでした。

ふたりが結婚詐欺に狙うのは、心に空洞を抱えた女性ばかり。
里子は冷静にその空洞をキャッチし、貫也はその持ち前の愛嬌で、
あてがわれた女性に誠心誠意尽くすことで、その空洞を埋めていく。
そこに嘘はほとんどなく、貫也は女性たちに本当の事を話すし、
たぶん心の一部分では本当に、彼女たちを愛しく思っている。
里子が女性の空洞をキャッチできるのは、
里子の心にも同じような穴がぽっかりと空いているからだし、
貫也が女性たちを癒すのは、里子の心の空洞の原因が自分にあると感じ、
里子をこそ癒したいと心から願っているからではないか。

だからふたりは結婚詐欺に遭うことになる女性たちを馬鹿にするような言動は一度もしないし、
早くお店を初めて、そのお金を倍にして返そうとすらしている。感謝している。

しかしそれでも、健全でない行動というのは、心や感情を徐々に、
目に見えないくらい少しずつ、歪めてしまうものなのだ。
その歪みに気づきながらも、自分を騙し相手を騙し、
気づかないふりを必死で続けていく里子。
貫也に指摘されても、怒りをぶつけたりはしない。
里子は冷静だし合理的だし、貫也を愛しているのだ。

里子が押し殺した怒りはしかし、思わぬところで思わぬ事態を招くことになるのだが、
そこまでのネタバレはしないでおこうと思います。

騙される女性の1人にウェイトリフティング選手がいます。(かなり強そう)
彼女が、怒って家から出て行こうとする貫也を引き止めるシーンがあるのですが、
かなり力強く彼を振り回す事になり、貫也はビビってしまうのです。
そこで彼女、こういいます「貫也さん、わたしが怖い?」

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参考までに、この人です。江原由夏さんという女優さんらしい。
本物の選手と見まごうほどすばらしかったです。強そうでしょ?

ここで冒頭の話なのですが、このシーン、劇場内ではちょっとした笑いが起こったんです。
でもこのときの彼女の切羽詰まった顔、あたし全然笑えませんでした。
こういうこと、ありませんか?男は調子良く好き勝手やってるんだけど、あるときふと、
その女が自分の思い通りにならない、手に負えないと気づいた瞬間に怖くなって逃げ出しやがる。
そういう身勝手な男に、それでもすがりつこうとする愚かな女。
他人事では全くありません。ひとみさん(江原さんの役名)なんてむしろ、かわいいものです。

こういうシーン一つとっても、男女の関係性の妙を、とてもうまく表現してるんです。
心の傷をえぐってくるのです。

私の涙が止まらなくなってしまったのはここ。
貫也が「お前は腹いせがしたいだけだろう」と里子を責めるシーン。
怒りでコップの水を投げつけようと立ち上がった里子はしかし、
水を静かに飲み、「ああ、もう6時・・」と仕事を始めます。
責め続ける貫也に「わからん。貫ちゃんがそう思うのなら、そうなんじゃない?」と
軽い調子で言うのです。

これ・・・、あたしじゃないか。。
(マジで言った事ある)

貫也の言ってることはたしかに当たってるかもしれない、
けどそこに行き着いてしまうのは、貫ちゃんへの愛ゆえじゃないの?
なぜ貫也はそこわかってあげられないのだーーー!!
でも里子はそうは言わない、というより、言えないのだ。
自分で言ったってそんなの、何の意味もないんだから。

ちょっとほんとに収集がつかなくなってきた・・・。

この里子を演じる松たか子さん(←尊敬のあまりさん付け)の演技が、ほんとにスバラシイ。
空虚と闘志を見事に目で表現してる。
怒りを押さえるためにパンにジャム塗って口に詰め込み、
牛乳で流し込むシーンとか、秀逸。

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松さん、最高です!!!

あと個人的には、最初に安藤玉恵とヤッてる風俗店の客?がneoの中村靖日さんだったり、
ふたりが営む居酒屋の客の中にさりげなく山下敦弘監督がいたりしたのがツボだった。

参考までに・・
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とにかくすばらしい日本映画がまた出てきてしまった〜
今年は邦画すげえなあ!!
完全女子目線で見すぎてしまったので、男性の感想が聞きたいです。
見た方ぜひ感想を教えてください!!!
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by kutuganaru | 2012-09-17 22:59 | 映画
1973年、冷戦下のイギリスとソ連の情報戦。
二重スパイを探す任務を与えられた元英国諜報部《サーカス》の老スパイ。
それを演じるのが、本作で初(?)のアカデミー賞主演男優賞ノミネートのゲイリー・オールドマン。
共演にコリン・ファース、トム・ハーディ、などなど。
と来たら、見ない訳にはいかないでしょう!!

ってなことは全くない!!
スパイものとか普段からあんまり見ないし、そもそも難しいの苦手だし。。
この映画に惹かれたポイントは以下3つだ!
①コリン・ファースが出てる(最近好きなの)
②監督が「ぼくのエリ 200歳の少女」のトーマス・アルフレッドソン。
③予告編がめちゃくちゃ面白そう!!

相当難しいということは何となくわかってたので、
とにかく気合い入れて見始めたのですが。。

やっぱり難しかった。。

ソ連と冷戦下にあるイギリスで、英国諜報部、通称サーカスのメンバーの中から、
二重スパイ《もぐら》を探す任務を遂行する主人公スマイリー。
彼はブタペストで行われた第一のもぐら探し作戦に失敗した上司のコントロールとともに、
サーカスを辞職し、不毛な日々を過ごしていた。
しかし上司のコントロールは謎の死を遂げ、次官からもぐら探しを任命される。
絶大な信頼をおくスカルプハンターのギラムと伴に、調査をすすめる。
事件の陰にソ連国家保安委員会《KGB》のカーラの存在を感じながら、
スマイリーは《もぐら》へと静かに、しかし確実に迫っていくのだった。

と、書いててもちょっとよく意味わかってないくらい複雑なあらすじで、
しかも理解が全然追いついてないから、衝撃の結末!とか言われても、
どう衝撃なのかイマイチわからないのね。
あと、これは完全に私の頭の悪さなんだけど、名前とか顔が似てる人とかがごっちゃになって、
同一人物を違う人だと思ったり、全然違う登場人物を同一人物だと思ったりしてて、
見終わった後に公式HPを見たらびっくり。
その辺の前知識を入れてから見てくださいねってご丁寧にも書いてあるじゃないの。
完全に失敗した。。

なのに、それなのに!128分の上映時間が全然長く感じない。むしろ短いとすら感じる。

全編に張り巡らされた不穏な空気。
つい息するのを忘れるほどの緊迫感。
スパイなんて仕事はきっと、気の休まる暇も、心の底から信頼できる相手もないんだろうから、
その緊張感を追体験するような全体の作りになっています。

なによりこの映画、派手なドンパチがいっさいありません。
あくまで頭脳戦。
しかしながら必要とあらば、残酷な死体もきっちり描く。
傷口にわいたうじが無数のハエになってたし、風呂場に臓物浮いてたからね。オエ。
でもそれは決して行き過ぎた表現ではなく、
監督の、映画に対してのそしておそらくは原作に対しての誠実さを感じます。
誠実さ故のグロなら、あたしだってちゃんと見れるのです。

とにかく緊張感あふれる2時間超でぐったり。。
最後はしっかり続編を感じさせる作りになっておりました。

そしてエンドロールなんですが、これまた。
表現しづらいんだけど、下から上に上がっていくまさにエンドロールなんだけど、
ぼーっと見てると、右寄りに出てた文字がいつのまにか真ん中に移動してる。
そして左側に、また真ん中に。
じーっと見てると変化に気づかないだまし絵みたいなやつになってて、
それが映画全体に漂う不穏さを象徴するようで、最後まで気持ちよく怖かったです!

ちょっと意味がわからなすぎて悔しいので、
多分もう一回ちゃんと見ます!!
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by kutuganaru | 2012-04-23 00:38 | 映画
ライアン・ゴスリング主演『ドライヴ』見てきました。
全部書いてるからこれ【ネタバレ】どころの話じゃありませんね。
未見の人は読まない方がいいかも!!

別に、これが久しぶりに更新するに値する作品だったから更新した、
というわけではなく、気分です、気分。

いつも映画見た後、twitterとかでつぶやいて終わりにしちゃうんだけど、
そうすると、見た直後の感想忘れちゃうんだよね。
いろいろ頭の中でこねくり回してるうちに、
結局自分はどう感じたんだろうとか、わかんなくなっちゃうのってもったいないすよね。

昼はスタントマン&自動車修理工、夜は犯罪者を逃がすドライバー。
天涯孤独な男が、アパートで人妻のアイリーンと出会う。
彼女とその息子と次第に仲良くなるドライバー。
しかし彼女には服役中の旦那が。そしてその旦那、もうすぐ出所してくるのです。

出所した旦那は、刑務所内で多額の借金を作っていて、
その不当な借金を返すために強盗を強要されるのですが、
主人公はその逃げる際のドライバーをすることに。
しかしその強盗は仕組まれたもので、旦那はあっけなく殺されてしまう。
共犯者のふりしてお金をもって車に乗り込んだ女もその後めった撃ち。

ここから突然バイオレンス前回血みどろスピードアクションに!

そこまでは、キャリー・マリガン演じるアイリーンとドライバーの淡い恋の予感とか、
超度級に(途中言語障害かと勘違いするほど)寡黙なドライバーの仕事のたんたんぶりとか、
結構静かな雰囲気で、まあそれが若干怖いではあるんだけど、
怖いくらいの静謐な?てか冷めた空気感なのね。
だから後半の動的な部分がさらに生きてくるんだと思うんだけど。

そっからはもう、人がどんどん死んでくわけよ。
容赦ないわけ。
ドライバーも命かかってるしね、なによりアイリーンとその息子の命もかかってるから。
超必死。
あたし銃とかライフルとか?の事知らないからあれだけど、
なんか頭が吹っ飛ぶくらい強力なやつで撃たれたり、
顔面をつぶれるほど踏みつけたり、頭に金槌で銃弾を打ち込もうとしたり、
超良く切れる剃刀で腕スーーってやったり、後半の海辺のシーンはほぼホラーの領域。
ひえーーー!
隣の女の子と一緒になって(赤の他人だけど)、手で目を被っちゃう部分も。
あ、指の間からしっかり見ました。なんとか耐えられるレベル。怖いけど。

この寡黙なヒーローがね、ものすごくかっこいいの。
ライアン・ゴスリングに萌えました。
キャリー・マリガンと合わせてね、二人で目で演技するのよ。
何度もきゅーーーん、としてしまいました。
目は口ほどにものを言うね。ほんと。

まあ何にせよ全編通してのドライヴ感がマジすごい。
そのドライヴ感に関しても、前半の静的さと、後半の動的さの対比もちゃんとしてる気がします。
最後までドライバーであり続けた彼に、グッと来ちゃいます。

あと劇中の音楽も相まって、相当スクリーンに引きつけられます。
背もたれから背中を離してついついググっと前のめりになってしまうほどの締め付け具合。

その音楽がね、すごく久石譲っぽく感じたんです。
それもジブリのではなく北野映画の久石譲ね。
ストーリーの無情な感じとか、なんていうか、ハッピーともバッドとも違う終わり方。
それも含めて、とても北野映画を感じました!!

あたしがちょうど求めてた分量の刺激!!
興奮の一本でした〜でも疲れた〜〜そして悲しい〜〜

おしまい。
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by kutuganaru | 2012-04-12 00:08 | 映画
三谷映画に正直飽きている。

普通に面白かった。
でも「そりゃあ、面白いよね」って感じで。

なんだろう、古畑任三郎とか、十二人の怒れる日本人とか、
作れる人なんだから、もっともっとって期待しちゃうの。

だけど、「有頂天ホテル」くらいからなんか全部おんなじでさ、
あ、テレビドラマのなんかたくさん兄弟いるやつ、あれは面白かったけどね。

飽きちゃったんです。
あー知ってる知ってるって感じ。

でも三谷幸喜って絶対絶対すごい人だし、
これからももっと面白い作品いっぱい作っていくはずだから、
これからも期待し続けるんだろうな、とは思う。
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by kutuganaru | 2011-11-19 18:07 | 映画
最近iphoneに機種変しまして、
何が一番よかったって、podcastが聞けることですよ。

私は10年くらい前から、TBSラジオの、伊集院光「深夜の馬鹿力」の大ファンですが、
あれ、深夜1時からなんで、寝ちゃって聞けないんです。

だからね、うれしかったなあ!podcastで聞けるって知って!
機種変してよかったなあ!ってあの時に一番思ったね。

それで、その中で伊集院光が言っていたのが、

ハードルの大事さ

同じ味のものでも、「ものっっっすごくおいしいよ!!」って聞かされて期待されて食べたときと、
「全然おいしくない」という前評判の元で食したのでは、全然感じ方違いますよね、って話。

だからあげすぎたハードルをちょっと下げたり、
今度は下がりすぎたからちょっっとだけあげてみたり、
その調整って結構大事よね。

そこでこの「冷たい熱帯魚」だ。

これ、世間様の前評判がめちゃくちゃいい。
R−18にも関わらずの異例のブランチ紹介とか、
映画館連日超満員のニュースに、
映画好きを豪語する方々や映画の評論を生業にしている方々の軒並みの高評価。
twitterも盛り上がりまくってました。
それはそれはすごい作品なんだろう、と。
しかし血みどろスプラッタがどうにも苦手な私ですので、
劇場で見る勇気がわかず、またDVDを自分の手で借りる勇気すらわかず。

それがほんとに偶然、ちょうどよく見れる機会に巡り会ったんですね。
しかも夜、一人で。

しかし、そのDVDをレンタルしてきた同居人の評価が、めちゃくちゃ低かったわけだ。

見終わった第一声がもう「全然おもしろくない・・・」だったから。
それも「・・・」がひたすらに強調されてるときたもんだ。
「エロくてグロきゃあそれでいいのか」と。

そこでハードルががくーーーん!と下がった訳ですね。

そして同時に、この作品を面白いと感じる事にたいする危惧も生まれてくる訳です。
逆にハードルが上がったとも言えるか?

とにかく見始めた。ちなみに見始めるときのあたし、そうとうビビってたよ。
もうびびりだけで気持ち悪くなるレベル。

しかしおやおや。序盤、全然普通じゃない。そこそこのスピード感もあって、飽きないし、
それぞれのキャラがすごく立っていて、面白く感じられる。

そして問題の解体シーンだけど、これはほんとに無念だが、早送った。
こんな私を、どうか誰も責めないでほしい。こればかりはしょうがないよ。

中盤、謎のレズシーンやでんでんのキレっぷり、吹越さんの情けなさの笑える演出。
エロシーンは、もっとすごいの想像していただけに、むしろ物足りないくらい。
もっと神楽坂恵のおっぱいを強調しなくていいのか?
娘のレズシーンは、いらないのか?

終盤、ちょっと長いな、と感じてくる。
最後の最後は、本当にちょっとしつこかった。
あれが、3分の1くらいになってたら、もっと面白かったという印象が強かったかもしれない。

まあいろいろ思うところもあったが、なかなか面白い映画ではあった。
しかしこの私の感想は、見る前の様々なハードルの調整が行われた結果のものだ。
例えば私が、よい評判だけをもとに作品を見ていたら、いったいどう感じただろうか。
同居人の彼が、この映画をべた褒めしていたとしたら、どういう風に思っただろうか。

まあただ、見た後に言えることは、この映画のすごいところはエロやグロな部分でもなければ、
メッセージでもない、ということだ。
エロやグロならもっとすごいのたくさんあるだろうし、
メッセージなど何もない(と、わたしは感じた。)

命などの大事なものがかかってるときの人間ほど、滑稽なものはない。

この1点につきると思う。

だから、でんでん演じる村田に父親へのトラウマがあることとか、
そういう設定が結構無駄に思えた。

村田のしゃべっている事って、間違ってるのに筋が通っていて、
そういう妙な説得力っていうのはとても面白かった。
そういうテンポ感で最後まで行ってくれたらよかったのになあ。

おわり。
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by kutuganaru | 2011-11-19 17:47 | 映画
安藤サクラの勢いがすごすぎて、評判もよかったのでTSUTAYAで借りました。

「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」

松田翔太・高良健吾・安藤サクラトリプル主演。
大森立嗣監督作品。

大森監督と言えば、「ゲルマニウムの夜」とかもなかなかに評判よいらしいけど、
「まほろ駅前多田便利軒」が結構ひどかった。
原作ファンを侮辱するかのような、俳優の可能性をつぶすような、
なんだか踏んだり蹴ったりの作品だった。

しかし、この作品はよかった。

青々とした、若者の、歪んでいるのにまっすぐな、ロードムービー。
鬱々とした、若者にしか通じない、共通言語のようであるのに、
でも誰でもが通り過ぎてきた、懐かしくもある情景。

施設で兄弟のようにして育ち、ビル解体の仕事をともにし、
夜はナンパ、知り合った女の子とセックスしたり、飲みにいったり。
そんなその日暮らしをするケンタとジュン。
ケンタは、兄のカズが起こした事件のせいで、
職場の先輩裕也から執拗ないじめを受け、賠償金と言われ、金をせびられていた。
ある日ケンタは反逆を決意する。ジュンは当たり前のようについていく。
ジュンにとって、ケンタについていくことは、
世の中の何よりも正しく、そして当たり前のことなのだ。

裕也の車をめちゃくちゃに破壊し、バイクを盗んで逃げる二人。
プラス一人。
そこには、ジュンを追ってきたカヨちゃんがいた。
ブスでバカでワキガのカヨちゃん。誰とでもセックスしちゃうカヨちゃん。

ケンタとジュンはカズを訪ねて網走に行くことにする。
カズなら、何かをぶっ壊してくれると、そう信じて。
しかし3人の旅はそう長くは続かない。
2人は車を離れたカヨちゃんを、置き去りにしてしまうのだ。

北へ、北へと旅をする2人。

施設仲間の洋輔との再会。

そしてカヨちゃんとの再会。

やがて3人で北海道にたどり着く。

網走でのカズとケンタの対話。

ジュンとカヨちゃんのレンアイのゆくえ。

そして・・・。


青春はイタイ。

このありふれた言葉がぴったりの、作品である。
あるのに、作品はちっともありふれてはいない。

バイクで走る2人の間を吹き抜ける風。
その風はきっと、清々しいと同時に、しっとりと湿っていて、少し生臭い。


高良健吾が、かなりいい味出してました。
「蛇にピアス」の時の、愛らしさと狂気の見事なバランスを感じました。
こういう役が、一番似合う。そしておひさまでやってる和成役は似合わない!!

安藤サクラはもうね。すごいね。
彼女。
これがカヨちゃんだ!!っていう感じがすごくした。
ほかの誰が演じても、この味は絶対出せなかったと思う。
この人しか、絶対に演じられない、と感じることって、実はすごく少ないですよね。


この作品を見ると、まだまだ自分が青いナ、青春まっただ中なんだナ
ということを、突きつけられますね。

早く大人になりたーい!
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by kutuganaru | 2011-08-23 22:51 | 映画