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三十路女のくだらない日々。


by kutuganaru
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わたしの大事な一部になると確信『海街ダイアリー』

『海街ダイアリー』@ユナイテッドシネマ浦和 2015/6/16

<ストーリー>
鎌倉に暮らす長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳の香田家3姉妹のもとに、15年前に家を出ていった父の訃報が届く。葬儀に出席するため山形へ赴いた3人は、そこで異母妹となる14歳の少女すずと対面。父が亡くなり身寄りのいなくなってしまったすずだが、葬儀の場でも毅然と立ち振る舞い、そんな彼女の姿を見た幸は、すずに鎌倉で一緒に暮らそうと提案する。その申し出を受けたすずは、香田家の四女として、鎌倉で新たな生活を始める。

監督 是枝裕和
原作 吉田秋生
脚本 是枝裕和
製作 石原隆 都築伸一郎
出演 綾瀬はるか・長澤まさみ・夏帆・広瀬すず

とても心地いい何かに包まれているような感覚。

まず、色がいい。
淡く、空と海の境目が分からない色合いが、
鎌倉の灰色の空と全体的に靄がかかったような空気感によく合う。
(撮影は瀧本幹也氏)

音がいい。
どこにいても、波の音が絶え間なく聞こえてくる気がする。

4姉妹がいい。
ほんとは、これに尽きる。

綾瀬はるかは、役に合わないのではないかと思っていたけれど、
厳しさの中にある強さ、弱さ、そしてなにより優しさがにじみ出ていて、
きちんとお姉さん、という感じがした。
綾瀬はるかが笑うと、お姉ちゃんに許してもらえた、認めてもらえた、と
なんだかうれしくなった。

長澤まさみは、シワがよかった。
語弊がありそうだけど、いい意味でツルンとしていなくて、
きちんと生きてきた人、という実在感があった。

夏帆は、3女の飄々とした感じがうまいこと出ていて、
何にもとらわれない軽やかさと、
自分の道をマイペースに進んでいく芯の強さで、
姉妹の間をクルクルと動き回る様は、とても小気味いい。
なのに、ほんのわずか、孤独を感じているんだろうな、
という感じがうすーく見えるところが、すごい。

広瀬すずは、何者でもない感じがいい。
衝撃的にかわいいし、多分ほかの同級生キャストより年上だと思うのだけど、
その違和感を不思議と感じることなく、空気にスルっとなじんでる。
ちょうどいい存在感って実は貴重。

この4人それぞれと、関わる人。
いい人、悪い人、悪気はないけど自分のことしか考えてない人、
ただ現実を静かに受け入れる人、抗う人・・。
みんなが生きて、そして死ぬ。

そうそう、この映画、2時間の間に葬式が2回、法事が一回。
喪服のシーンがやけに多い。
多いのだけれど、それも仕方のない自然の摂理だと、受け入れられる。

そしてそれは、人生の一大イベントでもある結婚が、
いずれこの4人に訪れるであろうことも示唆する。
つまり、この時、4人が仲睦まじく生活するこの時間には、
限りがあるのだということ。

限りがあるからこそ、美しいのだということ。

窓枠に集まり、梅の木を眺めながら、寄り添う4人が、
笑い合うシーンに、涙してしまったのはなぜだろう。

もしかして、その美しさに、涙が出たのだとしたら、
私的には大進歩。
(ポジティブな理由で涙を流した経験がないので)

いいとか悪いとか、関係なく、わたしはただ、この映画が大好きだ。
今後、どれだけ素晴らしい映画が登場したとしても、
私の中のこの映画の立ち位置は、きっと変わらない。
心のどこかに必ずこの映画はあるし、
折につけて見返すことになると思う。
きっと見るたびに、感じ方は全然違って、
だけどいつ見ても、私の心に温かいものを宿してくれる。

そんな映画になるだろうなあ、と感じたのです。

なんだか最近、感傷的になってしまって、いやあね。
by kutuganaru | 2015-06-23 15:14 | 映画