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三十路女のくだらない日々。


by kutuganaru
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貴婦人Aの蘇生

小川洋子さんの、作品。
優しい話。
扉の前で、8回転した後に扉の四隅を親指で押してからじゃないと、建物の中に入れない青年も、自分をロマノフ朝の四女アナスタシア皇女だと思い込んでいる老婆も、それらの人を受け入れる主人公の女子大生も、3人を取り巻くはく製の数々も、優しかった。
小川洋子さんの作品にしては(私が読んだことがあるものに限る)、テレビ出演の話など、大きな事件が起こったりしたが、それらは一番の事件でありそうで、実は、彼等を引き立たせるための,小さなエピソードに過ぎない。
この話はきっと、優しくて、強いけど弱い人達が、自分に縛り付けられながら、お互いを癒したり、ささえたり(決してそうしようとしたわけではなく、ただそばにいてたわいもない会話をするだけだが)しながら、愉快に生きて行こうとする話なのだろう。

って、私は勝手に解釈してます。

私が好きな点は、みんなが前向きで、ひた向きで、常に自分以外の人の事を考えられずにはいられないような、ところでした。

自分の殻が破れなくても、妄想の世界に生きていたとしても、別に良いじゃん。
そんな生活の中にだって、救いも、癒しも、優しさも、全てあふれてるんだから。
by kutuganaru | 2006-04-06 16:41