三十路女のくだらない日々。


by kutuganaru
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酔いがさめたら、うちに帰ろう

アルコール依存症とは、誰も本当には同情してくれないという点で、
他の病気とは大きく異なる、らしい。
その分治療に関しても、モチベーションを保つことが本当に難しいのだそうだ。

たしかに、その通りかもしれない。
アルコール依存症を病気と認識している人は、たぶん少ない。
かくいう私も、おそらく本当には病気と認識できていないかもしれない。


「酔いがさめたら、うちに帰ろう」
監督:東陽一(わたしのグランパなど)
出演:浅野忠信、永作博美 ほか
原作:鴨志田穣

報道カメラマンとして戦場に赴いていた原作者鴨志田穣の、自伝的小説が原作となっている本作。
鴨志田は、西原理恵子の元旦那として、ご存じの方も多いかもしれない。
アルコール依存症で幻覚に悩まされ、夢うつつの中なんとか生きている状態の主人公塚原。
彼は酔った勢いで妻に暴力を振るったり、妻の書きあげたばかりの絵をびりびりに破いたりし、
やむなく離縁となる。
最悪の夫の典型でもある彼は、しかしどことなくチャーミングで、だからこそ元・妻の由紀は
離婚した後も彼を見捨てることができない。
9度の吐血を繰り返した塚原は、ようやくアルコール依存症の治療をすることを決意し、
病院に入院することになる。
持ち前の明るさと人懐こさに、由紀と2人の子供たちの力添えもあり、
病院内で比較的平穏に暮らす塚原であったが、彼の身体は、取り返しのつかないほどボロボロであった。。
もうすぐアルコール依存症治療病棟を退院できるというある日、
彼はガンを宣告される。

「子どもたちにとっては、唯一の父親ですし、それに、一度好きになった人を嫌いになることは、難しいですから」
塚原との関係について聞かれて、由紀が言ったセリフである。
そこには、由紀の決意がにじみ出ている。
どんなに過酷な状況であっても、由紀は決して笑顔を絶やさない。
その笑顔が、塚原と子どもたちを、そして由紀本人を救う。

「大丈夫、まだ死なないよ」
冒頭、吐血して救急車に担ぎ込まれる塚原に由紀が声をかける。
そのこちらまで力をもらえるような強さたるや。

以前、西原理恵子さんがとあるトークショーで、
「人ひとり死なすのだって、大変だよ」
とおっしゃっていたことを思い出す。
その時も、西原さんは笑っていた。

人と対峙するときに、
笑顔ほど強い武器は、果たしてあるのだろうか。


★★★★☆
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by kutuganaru | 2010-12-14 10:29 | 映画